第60回  スーパースター

突然ですが、音楽に夢中になる前は、野球が全てでした。

一番好きなバンドは?と問われれば、やっぱりビートルズ。

ぢゃあ、一番好きな野球選手は?と聞かれると
やっぱり、長嶋茂雄なんです。

1971年に6度目の首位打者を取って以降は体力に衰えが
見え始め74年に引退します。私は当時9歳でしたが、
引退セレモニーは鮮明に(あの場面は、もちろんその後も
何度も放映されていますが、再放映の映像としてではなく)
覚えています。

72年以降、打率も3割を切るシーズンだったようですが、
私がテレビで野球中継を見ると必ずチャンスで期待に
答えてくれた選手でした(その頃、代打だったりもしました)
晩年の現役生活はファンの期待にも応えられず、
ご本人はさぞお辛かったでしょう。

でも、打撃が駄目なら守備で、守備が駄目なら走塁で
本当に何をしても絵になる選手でした。
まあ、私が言うまでもありませんが、こんな選手に
長嶋さん以来、私はまだ出会っておりません。


そして、王貞治。

実績からいけば、日本が誇る(日本野球界ってな、そんな小さな
レベルではありません)世界のスーパースターです。

高校時代の輝かしい実績をひっさげて、鳴り物入りで巨人に
入団しましたが、3年間成績が出ず、麻雀が上手くなり
野球は下手になったそうです。あれだけの選手でも、やっぱり
挫折があるんですね?入団3年目、トレードの話しもあった
そうです。

4年目、一本足打法に開眼し、それからは日々努力
当時の有名選手(野村楽天監督など)は軽い気持ちで
練習を見学しに行ったが、壮絶な練習風景を見て
みんな知らず知らずのうちに正座して、固唾を呑んで
見てしまったそうです。


ビートルズもそうですが、スーパースターが生まれる時というのは
時代背景も味方してくれるようですね。お二人がデビューしたのは
終戦も落ち着き、高度成長期。テレビの普及。野球観戦が
何よりの娯楽の一つだった時代。野球は基本的にはチームプレイですが
一流投手VS一流打者(長嶋対村山。王対江夏など)は本当に見応えの
ある瞬間でした。



先日、管理人さんの嫌いな某国営放送で、『ONの時代』という番組を
やってました。

お二人が語る、現役時代。

不調な時ほど周囲には明るく振る舞う長嶋さん
練習風景、苦悩する姿は絶対にファンには見せない
っていうのが信念だったそうです

バッティング・フォームが特殊な形からか、不調になると
脱出するまでが長い王さん。ナイターが終わっても夜中に起きて
素振りをしに外出する姿を見て、当時、奥様はときおり落涙されて
いたそうです。

お互い現役時代、あまり語らなくても、相手の調子がどうなのか
理解しあえてたそうです。

長嶋さんの引退試合、ベンチに戻る際、ONが肩を組んで
ベンチに戻る写真がすごく印象的でした。

プロ野球を見て、もうあんなに感動する事はないのでしょうか?
(今でも、全くないわけではありませんが)

本当に野球を楽しみたいなら、とりあえずファンの皆さん、鳴り物とか
風船とか一度止めてみませんか?

プロ野球(というか、日本の野球)を盛り上げるのも、駄目にするのも
野球ファンの野球の見方ひとつやと思うのですが、いかがでしょうか?
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